5年ぶりCSに王手 前田智徳が土曜日の4発を徹底解説
24日のヤクルト戦に敗れたものの、5年ぶりのクライマックスシリーズ進出に王手をかけているカープ。カープOB前田智徳さんが週末の戦いを振り返った。
■九里は勝ちに等しい投球だった。
まずは、24日(日)のヤクルト戦について。先発九里亜蓮の好投を労った。
「九里投手はツーシームや、フォークボールなど落ちる球が得意な投手です。そして、何回も相手チームとは対戦していて、ヤクルト打線もどんなボールが来るかわかっている中で空振りが多く取れていました。3回までは完ぺきなピッチングでしたが、4回の先頭の塩見選手への死球が不運でした。そこからのクリーンアップに対しては、ウラをかいてストレート系の球で勝負に行ったんですが、ウラをかけていませんでしたね。あと、多少ではありますが球が甘かったですかね。本当にこの回だけでした。打線の援護があれば勝てた。そんな試合でした」。
カープの残り試合は4試合。まずは早々にAクラスを決めて、2位固めしてほしいところ。前田さんも、ホームでのアドバンテージは大きいと話します。
「もちろん雰囲気が違います。2位でしっかりとファンの後押しを受けながら、ファイナルステージまで行ってほしいですね。」
■23日巨人戦では4HR 前田が全部解説します
土曜日の巨人戦では快勝したカープ。4本のホームランも飛び出した。それぞれのホームランを前田さんに解説してもらった。まずは、堂林の右中間へのホームランから。
「あの一発は堂林選手にしか打てないホームランでした。外の厳しいカットボールでしたけど、これだけの飛距離を逆方向に飛ばせる力をまだまだ持っているぞと見せつけてくれましたね。堂林選手の能力wお改めて確認できた。そんな一発でした。彼がデビューしたときからの真骨頂ですね」。
堂林といえば9月に入ってから4番での起用が多くなっているが、これについてはどう考えているのだろうか。
「ホームランの後のタイムリーもありましたよね。長打、単打問わず右方向へしっかり打てているところだけを切り取れば、間違いなく4番打者ですよね。外国人選手には力強さや豪快さはありますけど、堂林選手のような柔らかさはあまりないので。このまま打線がうまく機能すればCSでの4番起用もありますが、どうでしょうか…」
続いては久々のHRとなった秋山。
「秋山選手に注目していたのは、ベテランになってからの速いボールへの対応力です。復帰後、なかなか持ち味が出ていない中で、やっと体に近い速いボールを打ち返してくれました。やっと打ってくれたんですけど、次の打席のデッドボールが非常に痛いです。本人も速いボールをはじき返せて、1軍でやっていけると再確認できたはずです。その矢先のデッドボールだったので心配です。ふくらはぎは特にやっかいなので」。
末包は巨人キラーぶりを発揮し、自身初の2ケタHRを記録した。
「末包選手の成長が見えます。まずは1本目、特に内角の球を狙うという意識はないんですね。自然と初球にストレートのタイミングではいって、少し食い込んできたシュートにうまく反応しているんですよ。インサイドの球を体の反応で打てているということは、体の調子がいい証拠だと思います。バッターの最終的な理想形は反応で打てるかどうかなので。2本目は対照的に、フルカウントまで持ち込んでの一発でした。崩されていたんですが、これも自然体で打てていました。けっして狙った球ではなく、自然体でステップして何が来るかわからないカウントで、とっさに反応して打てましたね。これからは、これに読みがハマってくるともっと打てるようになりますよ。彼ぐらいパワーがある打者だと、ミスショットもホームランにできるので期待できますよ」。
■菊池選手の献身的なプレーにあっぱれ
「24日のゲームで、唯一得点を奪った3回。九里投手が出塁した後の菊池選手の打席に注目です。ノーアウトで1塁ランナーが投手なのはすごく難しい場面なんです。バントもないし、エンドランもない。ヒットでつなげれば一番いいんでしょうけれど、コントロールのいい小川投手でしたから、どうするんだろうと見ていましたが、フォアボールでつなぎにいったんですよ。フォアボールがあまり期待できない投手から勝ち取って、そのあとはバントでしっかり送り点につなげた。一見、見逃しそうな菊池選手のフォアボールが点につながりました」。
残りは4試合、すべて今季相性のいいマツダスタジアムでの試合だ。本拠地CSに向け負けられない戦いがつづく。
CarpCarpCarp編集部