川口和久から丸佳浩まで…広島カープFA流出の歴史

川口和久から丸佳浩まで…広島カープFA流出の歴史

カープの中軸打者としてチームを支えた西川龍馬外野手が、FA宣言期限の14日に申請書類を提出した。仮に、どこからもオファーがなければ残留という可能性もあるが、鈴木球団本部長は「彼ほどの選手にオファーが無いということはないだろう」と、他球団への移籍が決定的となっている。

カープがFAで選手を流出するのは、西川を含めると10人。対照的に、国内のFA選手を獲得した例はなくファンからするとFAには嫌なイメージしかないだろう。

過去にカープからFAで移籍した選手を振り返ってみる。

【動画】映像で振り返る広島FAの歴史

 

■川口和久(1994年巨人に移籍)

カープから最初にFAで選手が移籍したのは、左のエースとしてチームを支えた川口和久投手。1980年のドラフト1位で入団すると、在籍14年で131勝を挙げる活躍を見せた。

「自分の人生なので、とにかく燃え尽きるまで頑張りたい」と、巨人にFA移籍。巨人では4シーズンで85試合に登板し8勝13敗4セーブという結果だった。

 

■江藤智(1999年巨人に移籍)

川口の流出から5年後、今度は4番が同じセ・リーグのライバル球団に移籍することとなる。当初は、横浜への移籍が有力とみられていたが交渉が長引き、巨人が参戦。当時の長嶋監督が自信の背番号であった、「33を江藤に譲り、翌シーズンから永久欠番であった3をつける」という発言も飛び出した。

8年連続で20本塁打以上を放っていた大砲の流出は、チームにかなりの痛手となった。

 

■金本知憲(2002年阪神に移籍)

金本は地元広島の出身。ファン目線だと「まさか金本が」という感情だっただろう。江藤が抜けた後のカープの4番は、「違うユニホームを着てみたい。そこでカープの野球を見せたい」と阪神に移籍。移籍初年度に阪神の18年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。その後は阪神の監督も務めるなど、すっかり金本=阪神というイメージがついてしまっている。

 

■新井貴浩(2007年阪神に移籍)

カープからのFA移籍で最も衝撃的だったといっても過言ではないのが、新井貴浩の阪神移籍だろう。金本の移籍を機に主軸を任されるようになるが、思ったような成績が残せない。それでも、首脳陣は我慢強く起用を続けけ、新井も猛練習をこなした。その結果、2005年には43本のアーチを描き、ホームラン王のタイトルを獲得。2006年と2007年には2年連続で100打点をマークするなど、広島の4番として定着。ファンからも愛される存在となった。しかし、2007年オフFA権の行使を決断。「カープが大好きなので、辛かった」という発言はファンの記憶にも残っているだろう。阪神で7年活躍したのち、カープに復帰。3連覇に貢献し、いまは監督を務めている。

 

■黒田博樹(2007年MLBドジャースに移籍)

新井が広島を去る年に、エース黒田もメジャー挑戦となる。前年は「カープ相手に投げる姿が想像できない」と残留を決断したが、メジャー挑戦ということでチームもファンも快く送り出した。メジャーでは抜群の安定感を誇り、7年間で79勝をマーク。2014年オフに、メジャーの高額オファーを断りカープに復帰。ともに復帰した新井と共に2016年の25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。引退までに積み上げた勝利の数は日米通算203となっている。

 

■高橋建(2009年MLBブルージェイズ→メッツに移籍)

1995年ドラフト4位でカープに入団した高橋建は在籍14年で66勝を記録。移籍前年の2008年は21試合に登板し8勝5敗という成績だった。メジャーへの移籍を目指して、FA宣言しブルージェイズとマイナー契約を結ぶが、シーズン開幕前に戦力外に。その後、メッツとマイナー契約を結び、3Aで結果を残すと5月にメジャー昇格。40歳という年齢でメジャーデビューを果たし、自身の夢を叶えた。翌年にはカープに復帰し引退となった。

 

■大竹寛(2013年巨人に移籍)

黒田のメジャー挑戦後にカープの先発陣を支えた大竹寛。ケガに悩まされた時期もあったが、2012年からは2年連続で2ケタ勝利をあげる活躍をみせ、2013年のチーム初のクライマックスシリーズ進出に貢献した。現在は、巨人の2軍投手コーチを務めている。

 

■木村昇吾(2015年西武に移籍)

木村は2007年オフに、トレードでカープに入団。ユーティリティプレイヤーとして東出、梵らの離脱の穴を埋める活躍を見せた。2015年オフにFA権を行使するものの、移籍先が見つからず翌年の西武ライオンズのキャンプにテスト生として参加し、入団を果たした。FA選手として公示された選手が練習生としてキャンプに参加するのは初だった。現役を引退したのちは、クリケット選手に転向。日本代表として活躍している。

 

■丸佳浩(2018年巨人に移籍)

チームが3連覇を果たした2018年オフには、丸が巨人に移籍。丸は2007年の高校ドラフト3位で入団。入団4年目から1軍に定着し、チーム初のクライマックスシリーズ進出、25年ぶりのリーグ優勝などチームに数々の栄光をもたらした。中軸打者の移籍は2007年の新井以来となり、チームに衝撃が走った。丸は移籍後巨人で2連覇を達成し個人では5連覇したこととなった。カープは丸の移籍以降、Bクラスが続いていたが2023年に5年ぶりとなるクライマックスシリーズ進出を果たした。

 

CarpCarpCarp編集部

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