背番号94 佐藤啓介「今の自分は“野球が上手くなること”が全てだと思っています」

2023年育成ドラフト2位で静岡大学からカープに入団した佐藤啓介。

球団初の国立大出身選手だ。

「元々野球を真剣にやるのは高校で最後だと思っていました。実力的にも私立は難しく、野球をやるなら国立大だと思っていました。夏が終わってから受験勉強は1日10時間くらい。勉強は好きだったので苦しかったとは思いません」。

中学校の成績もオール5で、その時もただ好きで勉強していたと語る。

 

 

ちなみに大学の卒業論文のテーマは「静岡市の自転車製造について」だそうだ。

自転車と街の文化や製造業について、静岡に初めて来た時に、静岡の自転車の乗りやすさに気づきテーマにしたという。

ドラフトで指名を受けてからはずっと卒論で忙しかったらしく、必死に自分を追い込み、なんとか締め切りまでに仕上げたそうだ。

 

 

一軍で活躍するために、前進する

新入団選手会見では目標としている選手で「新井監督です」と回答し、会場に集まったカープファンを沸かせた。

フルスイングやガッツ溢れるプレー、そしてファンから愛されるその姿が自分の思い描く未来と重なると話した。

 

スタートしたプロ野球生活1年目。

ウエスタン・リーグが開幕してからの活躍は凄まじかった。

3月31日のくふうハヤテ戦では7番セカンドでスタメン出場すると公式戦初ホームランを放ち、3打数3安打猛打賞の活躍を見せた。

そこから17試合連続で安打を放つなど打率は4割を超え、3・4月のファーム月間MVPにも選ばれた。

5月に入ってからもファームで首位打者、さらには主にセカンドを守っていた佐藤だったが、出場機会を広げるためにファーストのポジションも練習するようになった。

 

 

そして6月に入ってすぐに念願の支配下契約を勝ち取った。

「目標にしていた支配下選手になれて素直に嬉しい気持ちでいっぱいですが、ようやくスタートラインに立っただけです。一軍の戦力になれるような実力をまずはつけて、活躍できるように頑張っていきます」。

 

プロに入りここまでは様々な課題に向き合いながら充実した毎日の中で戦っている。

「自分自身で思う長所は『考える力と課題の解決能力』です。練習や試合の中で、もっとこうしたい、もっと野球が上手くなれる要素を見つけたいと思いながらやっています」。

 

佐藤は常にどうすれば前進できるのかを考えながら野球に取り組んでいる。

そして他にも“言葉の持つ力”も大切にしている。

「自分の使う言葉は大事にしたいです。人に放つ言葉ももちろんそうですが、それよりも自分にかける言葉で先の自分が作られると思うので、自分自身に対して考えてる事とか、思う事とかを大切にしています」。

きっと出来ないだろうと考えてしまったときには“ポジティブに考えよう”ではなく、そんなときこそ頭の中でちゃんと整理をして考えることを意識していると教えてくれた。

ルーキーイヤーは目標だった支配下登録からすぐに一軍出場、まだ17打席だが多くの経験値を手にしたはずだ。

「一軍で活躍するためにやっているので、その為にはどうするべきなのか、大きな変化というよりかは毎日より良いものをと考えてやっています。今の自分は“野球が上手くなること”が全てだと思っています」。

 

彼の思い描く未来には沢山の楽しみが詰まっている。一軍での活躍、チームの優勝、そしてファンから愛される選手へ。

真面目に前進していく。

 

ライター・ゴッホ向井

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