【髙太一】来季、成長した姿を見せるためにオフは野球漬けの毎日に。そして新球種への挑戦

髙太一のルーキーイヤー、シーズン最終戦でプロ初登板が回ってきた。

同じくプロ初登板だった同期入団の滝田一希からバトンを受け取り、2イニングを投げ、被安打1で無失点と好投を見せた。そして嬉しいプロ初ホールドも付いてきた。

 

 

「緊張しましたが、前日は普通に眠れました。この最終戦で投げた後から、ありがたいことに家族も含めて、いろいろな方から連絡をいただいて、本当にまだまだ自分の実力で上がったわけじゃないんですけど、ああいう風にチャンスをいただけたことで来シーズンはもっともっと皆さんの期待に応えたいなと感じました」。

 

この日は同じ出身高校、広陵高校の大先輩・野村祐輔の引退試合でもあった。

「今年は2軍で同じ時間を過ごすことが多かったので、一緒にキャッチボールをさせていただいたんですけど、意識が全然違うというか。僕はふわっと相手めがけて投げてたぐらいだったんですけど、祐輔さんはずっと僕の構えてる胸付近にドンピシャで投げてらっしゃって、キャッチボールから意識の差があるんだなって見て思いました」。

この世界で活躍した選手を間近で見て、全体練習だけでなく、ストレッチやキャッチボールなどのアップからしっかり丁寧に取り組む姿勢を学んだ。

 

■失敗しなかった一日は何もしなかった一日だ

シーズンが終わり、宮崎県で毎年行われるフェニックスリーグへ参加した。

巨人戦ではプロ入り後、自己最長となる8イニングを投げ、被安打6で失点3(自責点2)と好投を見せた。

次に中7日で先発登板したヤクルト戦では7イニングを投げ、被安打6で失点1と2試合続けて長いイニングを経験した。

「実戦登板でとにかく課題がたくさん出てきたので、そういうのも含めて地道に課題を潰していくっていうのを、そのあとの秋季キャンプでも取り組みました」。

経験が増えると自然と課題も一緒に浮き上がってくる。髙は“体力不足”を課題の1つとして挙げた。

「調子がいい日っていうのは、朝、目覚めた時から違う感覚で、今日は体が軽いな、柔らかいなっていう感覚があります。反対に調子が悪いって思う日は身体が重いなと。でも365日生きているとどんなに毎日ちゃんと準備をしていても、身体が重いなと感じる日があるので、もっともっと体力を付けて、例えば1年間365日のうちの200日、 300日と調子が良いなって思える日を少しでも増やせるシーズンにできたらなと思います」。

 

髙はこの1年間を過ごしてきた中で“失敗を後ろ向きに捉えない”という言葉を大事にしてきたそうだ。

失敗はいずれ必ず自分を助ける大きな経験だったと言える日がくるために、常に前を向くよう意識した。

「失敗したらもうダメだっていうんじゃなくて、前向きに、なんで失敗したんだろう?何か変えるところはあるのか?課題はあるのか?と一喜一憂せずに深く考えていこうと意識していました」。

 

成功するための失敗をする。失敗を恐れていたらチャレンジはできない。

秋季キャンプでは黒田博樹球団アドバイザーから「良いカーブ投げてるからもっと使いな」と声をかけてもらえた。

「元々カーブは自分にとってはそんなに自信のある球じゃなかったので、たまに投げてたぐらいだったんですが、黒田さんの言葉で凄く自信になりました。 カーブを沢山試してみて、自分の中ではもう少しの感覚さえ掴めれば、武器になっていきそうだなっていう実感もあります」。

 

そして高には他にも実はこっそりと挑戦している新球種がある。

「レイさん(カープでチームメイトだった坂田怜)から色々と教えてもらいながら、ナックルボールをブルペンで投げています。このフェニックスリーグでは試合で何回か空振りも取れたり、落差が全然違うので、しっかりとモノに出来ればかなり武器になる球種だなと。制球力さえどうにかなれば、ゾーンに投げ込めたら勝負できるなっていう自信があります」。

 

 

チーム内でもまだ一部の人しか知らないというこのナックルボールは、少しずつ磨きながらいずれは髙太一の代名詞と言われるような武器に仕上げていきたい。

「今年は全くチームの戦力にはなれなかったので、来年は開幕から1年通してチームの役に立ちたいです。その為にもこのオフに足りない体力面だったりとか技術面だったりとかを突き詰めて、野球漬けの毎日にするつもりなので、2月からの春季キャンプで全く違う姿っていうのを見せれるように頑張ります」。

 

来季を戦う土台を作るために、このオフは休みではなく準備期間へと入っていく。

ずっと笑顔で話をする髙の表情を見て、来年の楽しみがまた1つ増えた。

 

ライター・ゴッホ向井

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