関東のファンの前に降り立った緒方さん|カープ道リレーコラム第18回

ライター/尾関高文(ザ・ギース)

 

カープ史上初の三連覇を成し遂げ、2019年に勇退。しばらく我々ファンの前に姿を見せる機会が少なかった緒方元監督。そんな緒方さんが、銀座TAUで関東のカープファンと触れ合う観戦イベントがつい先日行われました。スカパーさんの「カープ県」という配信サービス主催のこのイベント。なんと定員の約10倍ほどの応募があったとのこと。

 

 

関東のカープファンと大々的に触れ合うのは初めてという緒方さん。会場は緒方さんの話を噛み締めようというファンの皆様でとてつもない熱気でした。

試合が始まるとカープ選手の活躍を本当に嬉しそうに眺めながら、今年の新井さんの凄さをご自身の経験に沿ってこう話してくださいました。

どんなレギュラー選手でもコンディションに合わせて休養させたり、二軍の調子のいい若手をすぐに起用することはそう簡単にはできない。自分の時も1年目は固定メンバーで臨むことが多かった。打てなくても我慢強く使ったりと新井監督は「育てながらチームを強くする」という理想の形で采配している。本当に素晴らしい。

緒方さんが現役だった頃の「休まず試合に出る」という形は現在変化しており、時代の流れを考慮して采配を変えていくということはとても難しいことでしょう。新井さんの采配は現代の野球にマッチした、新しい形なのかもしれません。それを誰よりも感じている緒方さんの言葉は非常に心に沁みました。

試合中会場で起こるチャンステーマに一緒になってリズムをとる緒方さんの姿も印象的でした。

 

 

実はユニフォームを脱ぎ、テレビ観戦やイベントに参加して、カープファンの人たちがどういう気持ちでカープを応援しているのかが分かったという緒方さん。ファンの人と一緒にカープの応援を体験することで、監督時代とは違った気づきがあったとのこと。今ならばファンの人がどのように盛り上がってくれるかを考えることもあるそうです。当時はカピバラリレーなどでファンの皆さんが盛り上がってくれていたことは思い出深いとおっしゃっておりました。

 

さらに最近のデビッドソンさんの活躍を喜ぶ緒方さんに、監督時代1番印象深い助っ人を聞いてみました。答えはバティスタ。その理由について緒方さんはこう言います。

ドミニカの選手は基本1から野球を教えなくてはいけないのだが、練習は一生懸命やる。バティスタはようやく一軍に上げられたと思ったらその試合で即ホームランを打った。その成長具合の衝撃は今でも忘れられない。

確かにあの一時期のバティスタ旋風は我々ファンの思い出としても強く残っていますね。まるでかつての呂 明賜(ろめいし)のようでした。(なんで巨人の助っ人を例えに出すんだ!という苦情は飲み込んでくださいませ)

ジャクソンも配置換えをするときはだいぶ熱く激しく議論したこともあり、助っ人の情熱、熱い思いは思い出に残っているとのことでした。

 

途中気になったのが、会場で広島のがんす(広島で愛されている練り物をあげたもの)の試食があった際「がんすを食べたことがない」という緒方さんのお言葉でした。広島県人ならば100%知っているあの食べ物を知らないという緒方さん。それほど野球に没頭していたということなのかもしれません。

 

イベント中、終始ファンの皆様との触れ合いを楽しんでおられた緒方さん。「関東のみなさんにはずっとお礼を言いたかった」という緒方さんの思いを会場の誰もが感じていました。そして誰もがお礼を言いたいのはこちらの方です、と思っていたに違いありません。

イベント自体は10回裏で会場都合で終わりになり、全員帰路についたのですが、11回にデビッドソンさんのホームランが飛び出し、皆が電車の中で喜ぶという一風変わった幕切れになりました。

しかし、緒方さんはそのサヨナラのシーンで誰よりも喜び「みんなと一緒に盛り上がりたかった」とおっしゃっていたのでした。

 

今年はそんな「カープを愛する」緒方さんの姿をいろいろなところで見たいものですね。

 

CarpCarpCarp
広島ホームテレビで毎週水曜深夜に放送されている「カープ道」。カープを知らない、興味ない、乗っかりたい人必見のカープ学習番組です。CarpCarpCarpでは、毎週木曜日に番組出演者によるリレーコラムを掲載中です。

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