チーム一丸で掴み取ったノーヒットノーラン|カープ道リレーコラム第55回
ライター/ボールボーイ佐竹(カープ芸人)
「いや、ちょっとまだ信じられないというか、自分のことじゃないような気持ちです。9回あの大歓声を受けてマウンドに立ったとき、皆さんの前で達成できたらいいなと思って、最後の気力を振り絞ってがんばりました!」。
大記録を達成した直後にも関わらず、いつもと変わらぬ晴れやかな表情でコメントを言い終えると、歴史的瞬間を目の当たりにし、試合後のヒーローインタビューを待ちわびるカープファンから、今年1番の歓声が上がるグラウンドへと向かった。
大瀬良大地投手。2024年6月7日にマツダスタジアムで、プロ野球史上90人目となる、そしてカープ球団としては5人目となるノーヒットノーランを達成!
しかも本拠地マツダでは、記念すべき初のノーヒットノーラン達成となったのです。
僕は、この日の試合は残念ながら球場ではなく、家でテレビ観戦しておりました。
カープにとっては鬼門と言われる交流戦。
ビジターでソフトバンクに3連敗を喫し、ホームマツダスタジアムに戻ってきての6連戦。
新庄監督率いる日本ハムに初戦は落としたものの、2連勝と勢いに乗って迎えた、対千葉ロッテ戦の初戦。
マウンドには防御率1位の大瀬良大地投手。
失礼ながら、この試合が始まる前に「おっ!今日はノーヒットノーラン出そうだな!」なんて1ミリも思う事はありませんでした。
「今年の大瀬良投手は調子いいから、とにかくロッテ戦の初戦とってほしいな。」ぐらいな軽い気持ちで試合開始を待っていました。
1回は3人で抑える順調な立ち上がり、しかし2回は点は取られなかったものの、相手のロッテ選手に粘られ、抑えるのに30球も要してしまったのです。
実はここで大瀬良投手にノーヒットノーラン達成に関わる、ある事件が密かに勃発していたのでした。
「実は、、、、」
「実は足つってました」
2回、ロッテ打線を抑えるために要した30球で凄い汗をかいてしまい、3回に足をつってしまっていたのです。とりあえず、ファーストを守る田中広輔選手には足がつってしまっているので「ベースカバーは行かないので、全部自分で行ってください」とお願いしていたのです。
このタイミングでファーストゴロを打たれていたら、もしかしたら、ノーヒットノーランは達成できなかったかもしれません。
無事ファースト方向へ打たれる事なく、3アウトを取り、ベンチに帰り水をガブ飲みして、事なきを得たのでした。
「みんなで掴み取ったノーヒットノーラン」
それから、一つずつアウトを積み重ね、見事に偉業を成し遂げたのでした。
その最後のアウトとなるボールを掴んだのは、ライトを守る野間選手。
実は8回まで大瀬良投手がノーヒットノーランを継続中だと言うことを知っておらず、9回めちゃくちゃ緊張してたみたいです。
しかも最後のバッターがポランコ選手で會澤選手がインコースに構えた瞬間「これ来るやん!」と思い、後ろに飛ばされたら、もうしょうがない、前に落ちてヒットになるのだけは絶対阻止してやる!と打つ前にちょっと前に出たそうです。
結果的にイージーなフライとなり見事ノーヒットノーランの達成となったのです。
セカンドの菊池選手もライト近くまで行っていたので、みんなでなんとかするぞ!と言う気持ちが現れていましたね。
達成した瞬間も、優勝したのかというぐらいの盛り上がり。
どれだけ大瀬良投手がチームメイトから愛されているか分かりました。
「また次に向けて頑張ります」
そしてヒーローインタビューの最後に、大瀬良投手らしくこのように締めくくってます。
「自身は次の登板が大事だと思うんで、また次に向けて頑張ります。明日も試合があるので熱いご声援よろしくお願いします!!ありがとうございました!」。
あんな偉大な記録を達成されたのに、どこまでも謙虚で自分のことよりチームのことを考え、
今までどんな壁にぶち当たっても、諦めず自分を信じて一切ブレずに黙々と練習をこなす大瀬良投手。
いかなる時でも自分を信じ諦めない事の大切さを、改めて大瀬良投手から学ばせて頂きました。
これからもカープの戦力としてはもちろん、若い選手たちの見本として、これからもよろしくお願いします。
あっ最後に、大瀬良投手、家庭では子煩悩な父親であり、奥様いわく「寝かしつけのプロ」らしいです。
僕も、息子を寝かしつけようと頑張りますが、逆に寝かしつけられ、息子よりも先に寝てしまうので、今度寝かしつけのコツを教えてほしいです。
まだまだ大瀬良投手から学ぶことが沢山ありそうです。
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