「俺も夏男です」一軍に戻ってきた田村俊介・勢いあるチームの中でチャンスを掴んで欲しい

「夏は汗をよくかき、身体を動かしやすくなる。そうめんも大好きで、つゆにはネギと紅生姜を入れて食べます。止まってるそうめんも、流れてくるそうめんもどちらも大好きです」。

“夏男です”と語る田村俊介。暑いこの時期が大好きらしい。

 

 

今季は初めて一軍で開幕を迎えた田村だったが、なかなか調子が上がらずに5月に入って二軍降格となった。

さらにはファームでの試合中に、守備機会で足首を痛めてしまい、スタメンから外れた時期もあった。

しかし、オールスター休みでしっかりと休んで、万全な状態で後半戦に入れたそうだ。

 

「前半戦調子が悪かっただけに焦りもあったんですけど、少しずつ状態も良くなってきて、上がったときに活躍できるように、良い状態をしっかり継続して呼ばれるのを待っています」。(8月9日取材)

 

本人がそう語るように、オールスター明けの後半戦7月26日から15試合で打率は脅威の.455、8月13日の試合では本塁打もでて、まさに“無双状態”と呼ばれていた。

 

壁を破るために、試行錯誤し、沢山悩んだ。

ファームで過ごす時間は苦しかった。日々模索しながら一軍に戻ることだけを考えた。

以前、田村がファームでホームランを打った時に「ホームラン良かったね!」と声をかけた事があったが、「自分の中で正解がわからず、頭の中がぐちゃぐちゃになってます。なんでそんなときにホームランが出るんやっていうのがめっちゃ嫌で、逆に考えてしまいました」と言われた。

納得がいかない一発だったため、無表情でダイヤモンドを一周していた。

 

壁を破るために、試行錯誤しながら、沢山悩んだ。

一軍の試合は毎試合チェックし、モチベーションを作っていた。

相手バッテリーの配球を読みながら見たりして、一軍ではこうくるかなとか、自分がまた一軍の打席に立ったときにパニックにならないようにと、常にプラスになることを意識していた。

 

再び自信を取り戻すために、福地二軍打撃・走塁コーチには打撃フォームの形について助言をいただき、新井良太二軍打撃コーチにはタイミングの取り方など話し合いながら復調のキッカケを探していた。

“早くトップを作って振り出せる形”が自分の打撃の理想、少しずつだが、頭の中で作り出すイメージと感覚が重なってきた。

 

福地コーチは田村について、「前半戦はミスショットが多かったね。打てる球をしっかりと打ててないっていうところから始まって、時間は少しかかったけど内容も良くなってきたので良かったのかなと思います」と振り返った。

そして「朝会った時点でどういう顔してるかな?って表情見ますし、話をしながら腹ん中違うなって思ったら『ほんとに心から笑ってるか?』とか冗談を言いながらコミュニケーションを取ってます。こっちが真面目な感じで話を聞いてしまうと構えてしまう、たむちゃんの場合はすぐに眉間にシワをぐーっと寄せるのでわかりやすいよ(笑)」と話してくれた。

「福地さんからは打率をもっと欲張っていいよと、3割5分くらいを目標にしてやりなさいと言われています。猛打賞打てたときには試合終わったあと『たむちゃん調子良いね〜』と笑顔で言ってくれたりするので嬉しいです(笑)」。

 

 

一軍二軍の入れ替えが激しく、上がった選手を即起用する監督だから何がなんでも早く一軍に上がりたいという気持ちをみんなからひしひしと感じるとコーチ陣は話す。

 

新井良太コーチは田村について、「落ちてきたときはタイミングも遅くて構えも固まっていたのが、最近はずっと良い状態をキープできている。一貫してトップの形を早く取ろう早く取ろうと言ってきた。ここ最近は自分の間で勝負できているのかなと感じます」と、本人が強く意識している“早くトップを作って振り出せる形”について良くなってきたと感じていた。

「田村は素直で純粋で、聞きすぎるところがあるから、あえて声はあまりかけなかった。聞く耳も大事だけど聞かないことも大事なんだよね。二の矢、三の矢と必ずチャンスはあるんだからとお尻を叩きながら期待しています」。

 

8月中旬、田村俊介は再び一軍に戻ってきた。

「やっとまたスタートに戻れました。自分が打席に入る前に描いた打球に近づけるように確率を上げていきたいです」。

このチャンスを掴んで欲しい。彼らしい自信を持ったスイングに期待している。

 

ライター・ゴッホ向井

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