師匠は岡田明丈。育成から一流の舞台へ。メキメキと力を付けてきた1年目の杉田健がアピールを続ける
2023年のドラフト会議、育成1位で名前が呼ばれた杉田健。
高校時代は無名で、大学に入ってからはヒジを疲労骨折してしまいリハビリ期間を過ごした。
3年まで一度もリーグ戦での登板はなかったが、4年春にようやく初勝利を挙げてからドラフト候補として突如名前があがってきた。
そして成長が止まる様子が全くないと絶賛されていた。
趣味は推し活。乃木坂46の岩本蓮加さんの大ファンで、大野寮の入寮時にはタオルなどのグッズを持ち込んだことで話題にあがった。
登場曲は岩本さんが初めてセンターを務めた楽曲「トキトキメキメキ」にしたいらしく、なんとグラブにも「トキトキメキメキ」と刺繍が入っている。
特技は全力でサイリウムを振り回すことだそうだ。
師匠・岡田明丈の背中を追う
「やっと自分のやるべき事っていうのが分かってきたので、1つ前進できたかなと思います」。
今の課題は“真っ直ぐ”を武器にすること。
真っ直ぐありきの変化球だと考え、力強い球で勝負ができるように意識してやっているという。
「まずはほぼ真っ直ぐでいって、真っ直ぐを打たれたら次考えようっていう風にしています。かわす投球ってよりかは向かっていって、打たれたらもう次!って感じですね」。
その真っ直ぐを磨くために杉田はある人物に相談を持ちかけた。
「岡田さん(岡田明丈投手)に弟子入りしました。あのストレートが僕が今まで見てきた中で1番凄いと思っています。あのストレートを投げられたらなと思って岡田さんが今までやってきたことを全て聞いて、教えてもらっています」。
そんな岡田明丈が先日、再び支配下登録を勝ち取った。「師匠おめでとうございます」と直接伝えたところ『次はお前だぞ』と言ってもらえたそうだ。
師匠について杉田は「学ぶものがすごく多くて、日々勉強させてもらってます。前まではただ凄いなぁって思って見てるだけでしたけど、距離も近くなって沢山話していく中で、やっぱり“勝ちたい”っていう想いが強くなってきて、“悔しい”って思う部分も芽生え始めてきました。自分はまだ何も言える立場じゃないので、まずは同じ土俵に立つことを目標に頑張りたいです」。
プロ1年目の夏、この世界での大切な何かを感じ始めてきた。
過去に夏の思い出といえば乃木坂46の真夏の全国ツアーの思い出しかないと語っていた。
神宮球場にも野球ではなくライブでめちゃくちゃ行ったそうだ。
今年は違う。野球漬けの毎日を過ごす中で手応えを感じ始めている最中だ。
「投げていて楽しいです」と笑顔で話す。
好きな言葉は“意地”
「地方リーグ出身で、今は育成選手でっていうのもあるんですが、そもそも僕は野球エリートでもなんでもないので、下から這い上がるために、意地を持ってやっています。後ろはないので、前に進むしかないです」。
最近は少し余裕を持って投げられている感覚が残っているらしい。一登板ずつ自信に繋がってきているのだ。
「前まではただ投げてて、一球一球の意図があまり無かったんですけど、最近ではこのボールはこういう風にバッターを差したいっていう意図をしっかりと持って投げられているので結果も少しずつ付いてきた気がします」。
1年目の今は強化指定選手だが、投げながら強化もしていくという方針で先発でまわっている。そしてオープン戦で一軍に帯同していたときに新井貴浩監督から「先発と中継ぎではどちらをやりたいか?」と聞かれた際には「先発がやりたいです」と答えた。
「ここまでありがたいことにルーキーの中で多いイニングを投げさせてもらっているので、新人で一番投げたいです。あとはピッチングの内容を求めるのは当然ですが、とにかく目の前の試合で0に抑える。それだけです。見てもらいたいところは“バッターと勝負をする自分”です。逃げずに何かを探そうとしている自分を評価してもらいたいなと思っています」。
意地でも這い上がってやるという強い気持ちを抱き、努力を重ねている。
まずはしっかりとアピールを続けて信頼を勝ち取り支配下選手に。メキメキと力を付けてきている杉田のこれからが楽しみだ。
ライター・ゴッホ向井