大道温貴と小林樹斗|師匠・大瀬良大地との自主トレで仕上げてきた。ここから、競争を勝ち昇る
2月1日プロ野球のキャンプイン。大道温貴は二軍キャンプスタートとなったが、初日からブルペンに入り、最速は149キロをマークした。
「アピールをしていかないといけない立場なんで、スタートから仕上げたところを見せていかないと話にならないなと思って自主トレを過ごしました」
初日から首脳陣の目に留まる仕上がりを見せる。大道は2023年に48試合に登板したが、昨年は4試合の登板で終わり、悔しさが残るシーズンとなった。
気持ちを奮い立たせ、2025年に懸ける思いをオフシーズンからぶつけてきた。
「今年も大地さん(大瀬良大地)に自主トレをお願いしました。12月に2人で施設に行って、そこで動作解析などをして、今こっちの方向に向いてるよとか、例えば〇〇の速度がどれぐらいだとか、大地さんと一緒にいろいろと測りました」
大瀬良からは普段から技術的なアドバイスや意見交換はもちろんあるが、投球フォームが固まってきてからは『焦らないで』と、この言葉は度々言ってくれるという。
そしてこのチーム大瀬良・自主トレでは後輩の小林樹斗、斉藤優汰といった2人の若手投手も共に参加し一緒に過ごした。
そんな後輩の存在も刺激になると話す。
「僕の場合は1人では多分そんなにキツい練習はできないので、やっぱり人数が4人もいることでキツい練習でもみんながやってるからやらないといけないっていう気持ちになります」
2025シーズン、チーム始動に向けて、大道の“変化”はいくつかあった。
12月から1月前半まで走り込みを行い、食べるものへの意識も変えた。その結果、体重が5、6キロ落ち、筋肉量は上がったという。
さらに、もうひとつは禁酒である。
「今もそうですけど、秋季キャンプあたりから、ふともうお酒辞めてみようと思って飲まなくなりました。色々とやっている中でキレであったり、状態を一番良い形にしたいです。
今シーズンは強いチームの一員になりたいと思うので、去年みたいな悔しい気持ちのまま終わらないように、やりきったと思えるようなシーズンにしたいなと思います」
今年でプロ5年目のシーズンを迎えた大道温貴。自分が想い描く一番良い形のキレを取り戻し、今シーズンは一軍の舞台でフル回転したい。

◼️チーム大瀬良、全員で一軍の舞台で投げたいです
智弁和歌山高校からカープに入団して、今年で5年目のシーズンを迎えた小林。
昨シーズンは前年に右肘の手術をおこない、2024年はリハビリからのスタートとなった。
6月に復帰はしたが、二軍で思うようなピッチングができず、シーズンが終わってからのオフに来季は育成選手として契約を結ぶ形となり、背番号は“53”から“129”へと変更になった。
そんな小林は大道と同じく、昨年に引き続き大瀬良大地と自主トレを行った。
「去年と違って手術明けじゃなかったんで、大地さんには技術面だったり、投げることに関して、その都度その都度でアドバイスをいただき、ほんとに自分のためになるようなトレーニングができました」
オフにしっかりと体を動かせたり、ピッチングができたことで、春季キャンプへの入り方も昨年とは違った。
「2月1日からブルペンにも入りました。ほんとにもう一度、0からアピールをしなきゃいけない立場にあるので、とにかくもう結果を出すしかないと思うので、結果だけを求めて、その中でしっかり自分のレベルアップもしていけるようにと思いながら日々の練習を過ごしています」
2021年11月1日、高卒1年目だった小林は一軍の最終戦となったヤクルト戦、神宮球場のマウンドに立っていた。
“必ずもう一度あの舞台へ”
リハビリでボールを握れなかったときでも強く思い続けてきたことである。
そして今は、オフに共にトレーニングを積んだ大瀬良大地、大道温貴、斉藤優汰、この3人への想いも強くなっていったという。
「僕としては全員で一軍の舞台で投げたい。それが一番の理想で、強く思っていることです。
その為にももう一度、支配下登録を勝ち取りたい。一日でも早く、また一軍のマウンドに立ちたい。その思いで毎日やっています」
背番号が3桁になり、ここから這い上がるための競争へ。今シーズン、全ての力を出し切りアピールをする。
小林の勝負の一年が始まった。

ライター・ゴッホ向井