九里亜蓮の完封の要因は「変化球のコンビネーション」

11日の中日戦。九里亜蓮投手が自身3年ぶりとなる、完封勝利を記録。この完封勝利には3つの要因があったと語るのは、カープOB中田廉さん。その3つの要因とは一体何なのだろうか。

■変化球のコンビネーション

カープはただいま、ビジター12連戦の真っ只中。しかも、今季はビジター戦で相性が悪い。そんな中でも投手陣の好投が光り、連勝スタートを切った。

「長期ロードは変則的で、先発投手の踏ん張りがカギだとおもっていたんですけど、初戦の床田投手、2戦目の九里投手が見事な投球を披露してくれましたね。幸先良い2連勝になりました。」

特に、昨日の九里は変化球がよかったという。

「九里投手は昨オフから、ストレートを良くするというテーマでやってきていたんですけど、昨日は変化球のコンビネーションが抜群でした。序盤、中盤、終盤と本当にコンビネーションとして成り立っていました。前半に投げているボールが中盤から終盤にかけて、伏線になっていました。中盤以降は中日打線が、タイミングを外されて100%のスイングをできていませんでした。当然、打者は100%のスイングをしてくる、そして投手は100%のスイングをさせないように投げるんですけど、きのうの九里投手は右打者にはインコースにツーシームやシュートボールを投げていて、左打者にはアウトコースのツーシームとフォークと投げていました。少し難しい言葉になるんですが『偽装』というのが今のプロ野球界のトレンドになっています。『同じボールをいかに違うボールに見せるか』これが九里投手はうまいです。」

■監督からの信頼

今季が始まる前、新井監督は先発投手に対して「100球をメドに変える可能性がある」と言っていた。10日の九里は8回の時点で、108球だった。それでも、9回のマウンドに九里がいたのは新井監督からの信頼があったからだと中田さんは言う。

「ぼくも、きのうの8回が終わったときは『どうかな?』と思いながら見ていました。そこで九里投手が9回のマウンドに送り出されたのを見て、監督から信頼されているんだなと感じました。監督の信頼がないと9回のマウンドには上がれません。新井監督の100球メドの意図としては、後半戦の大事な時期に先発投手が頑張れるようにという気持ちだと思います。それでも九里投手は「投げ力」がありますし、完投する能力もあるので送り出したんだと思います。結果、九里投手は完封勝利を達成して、さらに信頼が深まったんじゃないでしょうか。大瀬良投手も近々復帰でしょうし、森下投手も帰ってきました。いろんなことが相乗効果となって、チームがいい方向を向くんじゃないでしょうか?それくらい、きのうの九里投手の完封は色々な意味がありましたね」

■8回に九里が見せた全力疾走

中田さんが最後に上げたのが九里の8回に見せた全力疾走。4点リード、無死1塁の場面。九里は送りバントを決め、1塁まで全力疾走をしてみせた。

「ささいなことかもしれないんですけど、九里投手って野球に100%で向き合える選手で、全力疾走を怠らないんですよ。まずこれが野球選手として大事なことです。あと、これは自分の想像なんですけど、ここで全力疾走をすることで9回の準備をしたんじゃないかと思いました。ここで緩めることで体が休まるところを、ギアをいれて9回に準備する。こんな姿を野手が見ると、勝たせてあげたいという気持ちになるでしょうし、九里投手の野球への向き合い方をお手本にしてほしいです」。

 

CarpCarpCarp編集部

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