ドラ4ルーキー清水叶人 倉コーチに課せられた「宿題」とは
「夢のプロ野球選手になれたのが嬉しい。セールスポイントは肩の強さ。打てる捕手を目指しているので、3割30本を目指していきたいです」
昨年12月、広島市内で行われた新入団会見にて、通っている健大高崎高校の制服を身に纏った18歳の清水叶人が大勢のファンと記者たちの前で挨拶をした。
子どもの頃に憧れていた選手は来季からジャイアンツで指揮をとる阿部慎之助。会見では目標の選手にカープ・坂倉将吾の名前を挙げた。
そして最後にファンからの質問に対して“10年後の理想は1億円プレイヤー”という大きな目標も宣言した。
■夢のプロ野球選手1年目
プロでの生活を歩み始めてからおよそ1年が経った。捕手陣は特に層が厚く、出場機会を掴み取ることも若手たちは大変だと思う。
今季ウエスタン・リーグで28試合に出場。打席数は54しかなかったが、嬉しいプロ初ホームランも放った。そんなルーキーイヤーを清水はどう感じたのか、本人に振り返ってもらった。
「思っていたより上手くいかないことが多いなと感じました。一番の課題はキャッチングです。完成度の高い投手がいるプロの世界で、その球をしっかり取らないとピッチャーにも迷惑がかかるので、そこを今も苦労しています」
球の勢いに負けてしまったり、握ってしまったり。キャッチングの奥深さを嫌というほど痛感した1年だった。
「ちゃんと止める」「ここが大事だぞ」
捕手として、目配り気配りの意識は当たり前。キャッチングが上手くならないと使えないぞ。
倉義和バッテリーコーチや高橋健投手コーチ、永川勝浩投手コーチからも常に言われ続けた言葉だ。
倉コーチからは毎日一軍の試合をテレビでチェックして、自分が感じたことを文章でまとめてLINEで送ってきなさいと宿題をもらった
「やっぱり勉強になることも沢山ありますし、會澤さんや坂倉さんはこういう考え方もあるんだなと色々なことを感じます。現場ではリスクがあっての配球なのですごく難しいと思いますが、僕は勉強の場で試合を見ながらなので、自分だったらこうリードしていましたなど思ったことを書いて送っていました」
第一線で活躍する先輩たちに少しでも近づくために、一球一球の配球の意味を理解したり、自分の考え方を文字に起こすことがすごく勉強になった。
この宿題はひとまず7月いっぱいで終わったが、清水は変わらず毎日一軍の試合を欠かさずに観た。倉コーチから「もうLINEで一回一回送ってこなくてもいいけど、しっかり一軍の試合は見とけよ」と言われたが、言われたからではない、一日でも早く上達したいから続けた。
■後悔だけはしないように
清水はとにかくアイスが大好きだ。小学生の頃からアイスを食べている時間が幸せだった。
「種類はなんでも大好きです、バニラ系がめっちゃ好きなんですがパピコとかも、真夏になるとアイスボックスですね。寮生活なので先輩たちから貰ったりもします。二俣さんがちょろいです(笑)。さすがに一個一個のアイスが冷蔵庫に残り2本とかだったら貰えないですけど、二俣さんはひと箱に6本とか入ってるやつを買うんで罪悪感少なくて貰いやすいです(笑)」
このとき楽しそうに話す清水の表情が印象的だったが、今年の夏場、倉コーチから体を冷やしすぎるからと“アイス禁止令”が出た。
「食べすぎるなよって感じです、僕がアイスを食べすぎていたからです(笑)倉さんはいつも自分のことを思ってくれて的確なアドバイスをくれます。将来一軍に上がるためにやってくださってるのでその期待に応えたいですが、まだまだ課題ありまくりです(笑)」
小学生のときに野球を始めてからキャッチャー一筋。両親からは「後悔だけはしないように、やることはしっかりとやりなさい」と日頃から言われてきた。
地元を出る時には「プロ野球選手になれたことに満足せず、これからも全力で努力を重ねていきなさい」と送り出してもらった。
家族とは頻繁に連絡を取っているが「どこか痛いとこないの?気をつけてね」と身体の心配が多いそうだ。そんな両親が住む実家のリビングには清水が学生時代のときに打ったホームランボールなどが飾ってある。
「次はプロになってからの特別なボールをそこに飾ってほしいです。その為にもまずは二軍でしっかりと試合にでたい。キャッチャーしかやったことがないので、この居場所で結果を残したいです」
あっという間のプロ1年目、吸収することが多かったはずだ。年末には地元に戻って初めてのオフを家族や友達と過ごす。しっかりとエネルギー蓄えて、また春に向けて頑張ってほしい。