ありがとう一岡竜司投手。まさか、チャンサカベースボールクラブに入団か⁉

“闘志”という言葉が彼の投球スタイルによく似合う。マウンドでの立ち姿は相手に立ち向かう気迫がこちらにも伝わってきていた。

一岡竜司。ジャイアンツで2年、カープに移籍してから10年とプロ野球生活を12年間過ごしてきた。

 

 

一岡竜司のマウンド姿

 

ピンチを脱したときにマウンドで吠える姿がとても印象に残っている。以前、一岡投手と話をしたときに「マウンドでの闘志剥き出しの感情が大好きなんです」と伝えたところ、笑いながら「吠えようと思って吠えてはいないんですよ(笑)」と返してくれた。また、実はマウンドに上がる直前までは真逆の“オフ”に近い状態らしく、心の中では冷静で、「絶対に抑えるんだ」という感情は一切持たずに過ごしていたそうだ。

これについては「構えすぎないようにしています。今日絶対に投げるんだと思ったら思った分だけ自分の場合はパフォーマンスが落ちちゃう傾向にあるので本当に投げる直前までオフです」と言う。

そして、マウンドという領域に足を踏み入れた瞬間に彼のスイッチが入る。野生の本能というやつか、獲物を捕らえるときのいわゆるアレだ。人が変わる。打者を抑え、感情が爆発してグローブを噛んだこともあった。

「あれは…はい(笑)極力しない方がいいんですけどね、気づいたときにはもう・・・グローブを噛んでいました(笑)」

無意識のうちに噛んでしまうほどに気迫が溢れてしまうのか、ちなみにそのときの味は覚えていないそうだ。

「マウンドって本当に不思議な場所で、そこに上がるとなんだかゾーンに入っているような感じになるんです。元々淡々と投げるようなタイプでもないんですが、自然と抑えたあとに感情が爆発するときはあります(笑)」

笑顔で当時を振り返る一岡はマウンドでの姿と同一人物ということを一瞬忘れてしまうぐらいに柔らかく優しい表情だった。

 

チャンサカベースボールクラブに入りたいです()

練習へ向かう道中、一岡はよくラジオを聴いていた。スピーカーから聞こえてくる声はいつもお笑いコンビ「アルコ&ピース」の二人だ。二人の大ファンだと語る一岡に「アルピーさんのどんなところが好き?」と質問をしたところ、その愛が止まらなくなった。

「実は僕アルピーさんのラジオのヘビーリスナーなんです。酒井さんのラップも好きですし、平子さんのロレックス好きも好きです(笑)。当然アルコ&ピースのD.C.GARAGEも、エフエム富士でやってる沈黙の金曜日も聴いてますし、静岡放送でやってたチョコレートナナナナイト!も聴いてましたよ」

 

後輩の私ですら聞いたことがなかった番組まで全て把握していた。そこで「もしアルコ&ピースに何かお願い事ができるってなったら何をお願いしたいですか?」と聞いてみたところ、とんでもない偏愛っぷりが返ってきた。

「実は酒井さんが草野球チーム作ってるんですよ!チャンサカベースボールクラブっていう、そこに入りたいです。いや入れてほしいです(笑)」

まさかの一岡からの逆指名だ。余裕のドラフト1位だろう。

「じゃあじゃあ相方の平子さんには?」と聞くと、

「僕平子さん大好きすぎて真似してるんです。平子さんがロレックスのシードゥエラーを購入してたんで自分も買いました。ロレックスが好きなんでじゃなく、平子さんが好きなんで憧れて買いました。僕、平子さんになりたいんです(笑)」

思っていた返しとは違った。最終的には平子さんそのものになりたいと言う。彼の「アルコ&ピース」への愛は深かった。これからも変わらず生活の一部となり、笑いながらラジオを聴いて過ごすのだろう。

チャンサカベースボールクラブか・・・一度投げてるところを私も見てみたい。

 

 

■ 本当に幸せな12年間でした。

現役最後のマウンドがついにやってきた。私はマツダスタジアムの内野席から彼の一挙手一投足をその目に焼き付けようとじっと見つめていた。一岡がラストに投じたボールは彼らしい魂の乗った”ストレート”だった。プロ通算253個目の三振を奪い、深々と礼をし、笑顔で最後を飾った。周りを見渡すとスタンドからは多くの方が背番号30のユニフォームを掲げ、泣きながら見守っていた。それはまさに沢山のファンから愛されてきた一岡投手の最後に相応しい光景だった。

「今日のような赤く染まったスタジアム。このマウンドからの最高の景色は今日で引退しますが、一生忘れることはありません。本当に幸せな12年間でした。本当にありがとうございました」

試合終わりに行われた引退セレモニー。ファンに向けての挨拶を聞き、また涙が溢れてきた。カープに来てくれて、本当にありがとう。

 

 

取材・ライター/ゴッホ向井

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