【安部友裕解説】カープ4連勝の要因は田中広輔にあり
まさかの開幕4連敗を喫したカープ。だが、その後4連勝であっという間に勝率5割に戻した。4連勝の転機となったプレーを安部友裕さんに聞くと、驚きの場面があげられた。
「神宮での野間選手のプレー。あそこがポイントになったのかなと思います。あの試合が終わった後、秋山選手が声をかけて菊池選手などとごはんに行った。引きずらないで次の試合からやっていこうということで、チームをまとめてくれました」。ミスからの敗戦をきっかけに、チームがまとまったのだという。野間選手自身も、切り替えられたことが4連勝への大きなポイントとなった。
もうひとつ、安部さんが強く推したのが田中広輔選手の復活だった。「経験豊富な田中選手がスタメンで結果を残すということが大きい。投手に声をかけるタイミングなど、周りを見てチームのために行動ができる選手なので」。そして、9日の巨人戦の話になると、安部さんの声のトーンが上がった。「見ました?あのホームラン。打った瞬間のあんなガッツポーズなんて、ここ何年も見ていませんでしたから!」。
さらに、田中選手の活躍はチームに「競争」をもたらしてくれるという。「小園選手がいま状態が良くないかもしれませんが、『俺もやってやろう』という気持ちになる。実際、ホームランのあと小園選手がショートでスーパープレーをしました。お互いが活躍をすることで、相乗効果が生まれるんです」。
昨シーズン、安部さんと田中選手は2軍でともにプレーをしていた。その時から田中選手の復活を予感していたという。「田中選手には少なからず、プライドがあったと思います。でも、話を聞いたり、表情を見たりすると、すごく笑顔が増えた。2軍のシーズン終盤で『安部、どうやって打ってんの?』と聞いてきたんです」。
今までは、そんなことは全くなかったという。しかし、安部さんはここから田中選手の大きな変化を感じ取った。「僕に聞いて何とかなることじゃないんですけど、僕に聞くということは、今までのプライドは取っ払われているなと思いました。今までもいい距離感はあったんですが、そういうのもなく一緒に楽しむ。野球を楽しむっていう段階に行ったのかなと思います」。
これからの戦いで、田中選手に期待することを問うと。「もっともっとチームを引っ張ってほしいです。スタメンで出てほしいです。途中、小園選手が活躍したとしても、他のポジションで出場したりとかできるので。代打でも良いし、守備固め、代走でもできる。大車輪のフル活躍が見たいですね」。
常勝チームのリードオフマンから、昨季の2軍暮らしと、他の選手にはない経験値を持っている田中広輔。「野球を楽しむ」という原点に立ち返って、今季を戦い抜く。
CarpCarpCarp編集部