【日曜の男】玉村昇悟 球威&メンタル 成長の理由は「経験から生まれた独自の思考」
今シーズン、開幕ローテーションの座を勝ち取り4試合で先発登板。そのすべてが日曜日で「日曜の男」となっているプロ4年目の玉村昇悟。昨シーズンからの変化を本人に直撃した。
※データはすべて4月24日現在 ※以下、(選手)敬称略
■球威が増したストレート
「去年があまりにも自分の中で良くなくて、(ストレートが)良くなる方向に自分で考えられていることが、一番いいのかなと思います。真っすぐで押せる部分が増えました」。
玉村のピッチングといえば、ボールの出どころが見づらい独特なフォームと、スライダーやチェンジアップなど緩急を織り交ぜた配球で打者を打ち取っていくスタイル。それに加えて、本人が言うようにストレートの球威が増した印象を受ける。中でも、印象的だったのが開幕第3戦のヤクルト戦。三冠王・村上との対戦だった。全球ストレートをインコースへ。強打者を相手に臆することなくストレートを投げ込んだ。あの場面、自信を持ってストレートを投げ込んだのだろうか?
「自信はあんまりないんですけど、投げなきゃいけないところはあるのでそこは腹をくくって投げているんですけど、今投げている球を信じて投げようとは思っています」。
■玉村の変化を促したメンタル面の成長
ストレートに自信はないと言う玉村だが、以前よりもたくましさを感じる。その変化の要因には、オフから行ってきたある取り組みがあった。
「自分の感覚だったり、投げていて『もっとこうしたら良いのでは?』とか『ここがダメだったからこういう球がいった』とか『こんなトレーニングをした方が良いな』とか考えながらやっています」。
1球1球、試行錯誤を重ねて手に入れた武器。さらに、「考え方」を変えたことで大きな変化をもたらした。
「去年はいろんな人からアドバイスをもらって、みなさん良くしてあげようと思ってアドバイスをくれるんですけど、それを聞きすぎたというか、何でもかんでも取り入れすぎて自分の中で整理がつかなくなったのと、あとは簡単に情報が入っちゃうので、自分で考えることをサボったことが去年よくなかったので、今年は甘えないじゃないですけど人の意見も聞きながら結局は自分がやるので、いろいろ引き出しを探しながらやっています」。
昨シーズンも開幕ローテをつかんだ玉村だったが、わずか4試合で登録抹消。この苦い経験が今の考え方につながっているという。
「去年は2軍に行きたくないなとかそういう思いがあって、良くない方向に空回りしていたんですけど、今年はダメだったらダメでいいのかなと思って。投げやりになっちゃダメなんですけど、自分の出来る事をやってそれで打たれたなら仕方がないと、次に生かしてやっていけばいいかなと思っています。今年は楽しみながら投げようと思っているので、良くても悪くてもどういうピッチングができたのか、バッターの駆け引きができるか楽しみながらやっています」。
■今シーズンの飛躍へ 課題は立ち上がり
高卒4年目の22歳にして、打者との勝負を楽しむことができている玉村。今後の活躍に向けて、今の課題を尋ねると真っ先に挙げたのが「立ち上がりのピッチングだった」。
「よーいドンで僕も入っていかないといけない場所なんで、そこが課題です。この前の試合(16日のヤクルト戦、1回に5失点)は良くない典型でした。そこは切り替えてというか、ここで立ち直るのも1つの経験というか…。悔しいですけど、取られたことは返ってこないので、それを二度と起こさないようにと思ってやっています」。
最後に、これからのシーズンに向けて意気込みを問うと、ここでもあの言葉が出てきた。
「あまり考えていないというか、先の事を考えず目の前の試合を楽しむ。あまり畏まらずに普通にやったらいいなと思います。無理して考えてもパンクしちゃうので、普通にやっています。今年は毎試合安定するということと、この前の試合は野手に助けてもらったんですけど、これから先チームが苦しい時に、チームを支えられるようになりたいなと思います」。
CarpCarpCarp編集部