【前田智徳解説】サヨナラ勝ちのポイントは「栗林のスクイズ外し」

2連敗で迎えた、27日の中日戦。カープは終盤に同点に追いつき、12回ウラにサヨナラ勝ちを収めた。エースで落とした前日の嫌な流れを払しょく、この試合のポイントを前田智徳が解説する。

 

■複数のヒーローが誕生 チーム一丸でつかんだ白星

「12回ウラのあと1アウトで、引き分けなのかなというところでしたけど、最後ギリギリのところで勝ちましたから本当に良かったですね」。

複数のヒーローが誕生した試合、前田がまず挙げたのが菊池涼介だった。

「5安打というのは、プロ野球生活でもなかなかないことだと思います。それを1500本安打達成した試合でしましたから、菊池選手は荒稼ぎしましたね」。と上機嫌で語った。

「今年は開幕から、菊池・秋山といった実力者の調子がいいですから、チームを引っ張ってくれています。

そして、サヨナラの押し出し四球を選んだ韮澤も忘れてはいけない。

「初球の球に少し反応しましたよね?この初球のボール球に手を出さなかったということが、押し出し四球を選んだ要因ですよね。それ以降もきわどい球が多くて、しかも若い選手で緊迫感のある場面でしたから、『積極的に打ってやろう』と気負いが出るところなんです。その中で、よく集中していましたね。初球、バットが止まったということで、投手はストライクが投げられなくなりましたね。初球で勝負が決まりました」。

韮澤はこれがプロ初打点となった。これについては。

「シブいですよね。もっとこれからチャンスは増えると思うので、非常に楽しみな選手ですよね」。

■九里が粘りのピッチングを披露 好調の要因は「ツーシーム」

「この試合をいれて3試合、ほぼ自責点が0のパーフェクトなピッチングを見せてくれました。この好調の要因はツーシームです。落ちるボールはほかにも、フォーク・チェンジアップと3種類あります。それに加えて、曲がる球もストレートもすべてが調子がいい。スタミナは豊富な投手ですから、いま一番頼りになる投手ですね」。

しかし、九里はここまで1勝にとどまっている。これについては、打線の奮起を促した。

「九里投手が投げている間に、もう少し早く援護があれば勝ちがついてきますからね。もう5月になるので打線の援護に期待です」。

■勝利のポイントは栗林のスクイズ外し

2-2で迎えた9回表。1アウト3塁でカウントが2ボール2ストライクだった。ここで、中日ベンチは3バントスクイズを選択。栗林がそれを察知し、三振ゲッツーでピンチを切り抜けた。この場面が最大の山場だったと前田は言う。

「中日の奇襲ですよね、普通ではスクイズがあり得ない場面です。バッターが構えた瞬間に栗林投手がカーブを高めに投げた。この高等技術は素晴らしかったと思います。例えば、ストレートを高めに投げるというのはわかるんです。カーブをとっさに高めに投げるというのは驚きました。もしかしたら、暴投になる可能性もありますから。いちばん良いところに投げて、坂倉もよく反応しました」。

栗林のすごいところはこの、とっさの投球だけではなかった。

「ランナーをアウトにした場面も非凡なものがありました。挟殺プレーも一度フェイントをかけて、ランナーを追い込んだ。いろんな場面でセンスを感じました」。

もともとは内野手だったという栗林。とっさのウエストに、とっさのフェイント。中日の「奇襲」を防いだこの2つのプレーを前田はべた褒めした。

 

CarpCarpCarp編集部

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