「今までの投球スタイルでは勝てないと思った」九里亜蓮の好調の要因は?
6月12日現在で、セ・リーグの防御率ランキング2位につける、九里亜蓮。勝ち星もチームトップの5勝と活躍を見せている。その要因に迫った。
1年目から出場機会を得た九里。おととしには自身初の2ケタ勝利をあげ、最多勝のタイトルを獲得するなどチームに無くてがならない存在に成長した。しかし、昨シーズン。思うような結果が出ず、終わってみれば前年の半分以下となる6勝。さらにシーズン途中には3年ぶりとなる中継ぎも経験した。
「(昨シーズンは)自分の中で色々考えながら投げていた部分もあったと思いますし、先発として点を与えてはいけない気持ちが強すぎた部分もありました。低めのボールを振ってこないような試合も多かったですし、自分が思っているようなボールを投げられても、それをヒットにされたり簡単に見逃されることもあったので、今までのピッチングスタイルでは勝てないと感じたのが強かったです」。
と語った九里。変化を求め、九里が向かった場所はアメリカのドライブラインベースボールだった。ドライブラインベースボールは最先端の技術を用いて、選手個々のレベルアップを図る施設でエンゼルス・大谷翔平やパドレス・ダルビッシュ有もトレーニングを行っている。九里はそこで約1カ月、ピッチングの改良に励んだ。
「ゾーンの中でバッターがスイングしてくれるとことに強いボールを、ストレートに限らず、変化球に関しても強いボールを投げることに重点を置きました。そのために、重たいボールを使って、肩肘を強化しつつ良い動きにしていって、強いボールを投げるために重たいボールで腕の振りを早くしていくとか、いろんなことをやりました」。
多くのことを学んだアメリカでの1カ月間だったが、短期間で変化は体にすぐには馴染まなかったという。
「絶対できないだろうなと思って覚悟していきましたし、自分の中でしっかり投げられているかと言ったら今もそういう状態ではないので、完ぺきですという感じでは全くないです」。
それでも、今シーズン結果を残している九里にはさらに突き詰めたい部分がある。
「本当に細かいところなんですけど、キャンプやオープン戦に関しては左足だけの意識しかしていなかったんで、それがオープン戦の終盤からは右足の力を、いままでやってきた左足の使い方につなげていくにはどうしたらいいだろうとやっていって、つい最近2週間前くらいから意識しなくてもある程度できるようになったので、最終的なリリースの部分をどうやって持っていくかとか、やることはたくさんあります」。
その言葉通り、インタビューの2週間前の5月24日の中日戦から6月7日の日本ハム戦までの3試合では、計21イニングを投げわずか2失点と驚異の数字をたたき出した。
■同期の大瀬良大地の存在
今季、1000投球回を達成した九里だがこれには同期入団で同い年の大瀬良大地の存在が大きかったという。
「同期であれだけ活躍しているのを目の当たりにして、ライバルとしてやりたいと思って僕自身やっていましたし、(大瀬良)大地に関しては昨シーズンに1000投球回を達成していますし、同級生でドラフトも同期で入ったライバル的な存在がいてくれるのも、すごく僕自身としては大きかったと思います。」
ここまで2勝と苦しむ大瀬良。どのような思いで見ているのか、「頑張れ」と見守っているのかと思いきや、返ってきたのは意外な言葉だった。
「あんまり頑張ってくれっていう感じではないですね。本当にお互い切磋琢磨してやると思っているので、頑張ってくれというよりもやってくれるだろうなっていう気持ちの方が強いです」。
31歳のシーズン、これからの意気込みはー。
「チームに勝ちがつくピッチングをすることとが僕の役目だと思うので、そういう試合を1試合でも多くやって、いい試合をファンのみなさまに届けることができればなと思います」。
広島ホームテレビ『ひろしま深掘りライブ フロントドア』(土曜13:00) 6月10日放送
CarpCarpCarp編集部